アルヴィン×エリーゼ
きい、とブランコは軋んだ 夜が鳴るみたいに。
アルヴィンはうつむいていてエリーゼにはなにもわからない またすこしブランコがゆれてアルヴィンの髪がひとすじ頬に落ちても エリーゼは呼吸を忘れてたたずんでいた
見上げるくらい大きいはずのアルヴィンは今しゃがみこむみたいにブランコにのって わずかに肩をふるわせて うしろに立つエリーゼにきっと気づくこともなくひとりでいる。こんなに近くにエリーゼがいるのにひとりなのだ 彼は。
アルヴィン、と呼んだ声はひそやかだった。気づかれたかったのかただの自己満足がそうさせたのかは自分ではわからなかった ただ結果として 叱られたこどもみたいなぎこちない動作でアルヴィンはエリーゼを仰いだ(どうしてそんなめ するんですか)縋るような視線が痛くてエリーゼは後悔した 捨て猫や捨て犬を拾ってきてはいけませんと村のこどもたちが叱られていたのを思い出していた 可哀想だからといっときの感情で容易くてをのばすのは残酷なことなんだって(わたしは残酷なのでしょうか)救われると勘違いさせたぶんだけ罪は重いんだって(これは罪なのでしょうか)でも それでも 伸ばさずにいられなかった右手は アルヴィンに届いて。
傷だらけの躰だけが大きくて弱気な犬はあたたかかった。おそるおそる毛並みをなでたら おそるおそる、本当におそるおそる エリーゼの背に手をまわして それからきつく抱き寄せて。彼が吐き出した声はぜんぶ 痛々しく千切れていた
「ばかだな」「なにしにきたの」「憐れんでるの」「俺のこと笑いにきたわけ」「お姫さまみたいなお子さまに縋って」「かっこ悪い、ってさ」重なれば重なるほど血がにじむみたいだった。きっと痛いくせに見えない誰かに意地を張ったみっともないおとな。「……笑います。アルヴィンかっこ悪い」絞り出した声はやっぱりひそやかで 静かで。「全然 笑えてないんだけど」エリーゼを抱き寄せたままくぐもったこえがゆれて 少しだけ笑った
なにものにもなれないけもの
130307
(正直ほとんどXのこと覚えてない)