あのね、ロイドがね ロイドがね。
コレットちゃんは眩しいような笑顔で何度も何度もその名を歌うけれど、何がそんなに嬉しくてたまらないのかゼロスにはまったくもって理解ができない したくもない 優しく吹く春の風にふわふわと柔らかな髪を泳がせて ふんわりと優しい花の色で頬を染めて だいすきなロイドくんの名前を呼ぶその表情はまさにこいするおとめ、ほほえましいはずの光景なのだろう、 しかしゼロスの胸の内はなぜかもやもやと燻って、近すぎてふとした拍子に触れてしまうコレットちゃんの体温とか ね?と同意を求めてくる小首の角度とか そういうものにすら苛立って仕方がない、苛立って仕方がないのだ。本当に いらいらする
あんまりロイドロイドとうるさいから その三文字はコレットちゃんにとって魔法か何かなの と意地の悪い気持ちで問いかけた 呟けば呟くほどゼロスを不快にする魔法。きっとそうだ コレットちゃんは俺のことが大嫌いで大嫌いでこんな仕打ちをしているんだろう
精一杯の嫌味を込めたはずなのに しかし小さな天使さまはぱあっと顔を輝かせてこう答えた「それってとっても素敵だね!」何が素敵なものか、ふざけるな 確定した コレットちゃんは俺のことがしぬほど嫌いだ
「コレットちゃん」「なあに?」にこにこ コレットちゃんがゼロスを見る「コレットちゃんってロイドくんのこと大好きだよね」「うん、大好きだよー!」即答かよ「あっそ……」いいさ。わかってたよそんなこと。嫌になるほどわからされてるよ。にこにこ にこにこ。コレットちゃんの笑顔は残酷なまでに明るくて吐き気すら感じてくる
「でもね、」
ふわふわと揺れるはちみつ色の髪に ふふ、とかしげる細いくびに ようやくゼロスを、ゼロスだけを映しこんだ青空色の瞳に
「ゼロスのこともだーいすきだよ」
こんなにも苛立たされるのに、なのになんで こんなにも 愛おしさを感じるんだろう
今ここで抱きしめたい
14/01/20
(ゼロス君の嫉妬のはなし)