星屑を拾うようにわたしの髪を梳く綺麗な指先を眺めていた。命を刈り取るために日々振るわれるその手は驚くほど白く滑らかで彫刻と並んでもきっと遜色なんてない。男性らしい骨ばったフォルムだけがようやっと人間らしさを滲ませている程度。
「なんでいつも結んでるの」
「邪魔だからです」
「切らないの?」
「……短い方が好きですか?」
問いに問いで返すのは雲雀さんの好むところではないと重々承知しているはずなのに、一瞬ざわりと波立った心が自重を許さなかった。
しかし雲雀さんはさして気に障った様子もなく、
「興味ないな」
そう一蹴してしまう。
良かったのか悪かったのか腑に落ちず、わたしはこっそりとくちびるを尖らせた。
そりゃあ、短い方が楽だし戦闘中の隙もわずかながら減るだろう。でも一髪二姿というくらい、髪は女性の象徴だ。血をまとう自分が少しでも女の子らしく――少しでも雲雀さんに好いてもらえるようにと考えた結果が、せめて髪くらいは長く、という結論だったのだけれど。
肝心の雲雀さんにその気がないなら意味はない。もう切っちゃおうかなと頭の片隅でひとりごちて、でも視線を上げた先の雲雀さんの綺麗な手がわたしの髪をやっぱり丁寧に流してゆくから。
愛は物音をたてない
130306
title:春告げチーリン